SARA のエトセトラ(その2)

前回の続きでSARAの話を。今回はSARAのデザインについて、です。

大変申し訳ございませんが、今回の日記はSARAのルールを把握しているものとして進めさせていただきます。文末に簡易説明書(説明書の最初2ページ)を添付しますので、ルールについてご存じではない場合、ご覧になってから今日の日記をお読みください。詳しいルールを知りたい方は、SARAを買って説明書を確認してくださいね(宣伝)。

ゲームの根幹

私は心理戦をするゲームが好きです。そんな自分が作るゲームなのですから、心理戦をするゲームを作ることにしました。このゲームで自分がやりたかった事は「この伏せたカード、なーんだ?」と、「この後伏せるカード、なーんだ?」でした。それをするのにいろんな方法はあると思うのですが、一番最初のアイデアは、伏せた皿カードが一周する間に邪魔されなければノルマとなるでした。しかし、横取りカードの処理が複雑でわかりにくかったので、ルールを変更。いろいろ考えて同時処理ができたターン製を採用いたしました。結果として皿洗いのドタバタ感が強くなったので、とてもよかったです。
自分がやりたい事って、このゲームで変えたくない事、だと思うんです。今回の場合は「カードを順番に出す」から「宣言を順番で行う」にルールは変わりましたが、「順番に」というところは変えませんでした。SARAはルールの修正が1回で済んだことは幸運でした。

カード枚数

当時バランスをとることにノウハウがなかったため、一番身近なカードゲームであるトランプに土台を求めました。なので、総枚数52枚、小皿13枚(1スート)中皿8枚大皿5枚(1スートのから札と絵札の比率)、と、ここまではトランプに従って枚数を設定しています。トランプの枚数を踏襲した理由はもう一つあり、カードの枚数に説得力を持たせたい。というのがありました。カード枚数にトランプの比率を使っているんだよって言えば、なんだかそれっぽく聞こえるじゃないですか。しかしそれに対して横取りカードなどは単純に割合を計算して枚数を決定しました。小皿の方が壊れにくく、大皿の方が壊れやすいようにです。リスクリターンの関係がおかしくならないように注意を払いました。また、ここでトランプではない比率を取り入れて既存のトランプゲームと同じようにならないようにしました。SARAのバランスの独自性が出せたと思います。
26枚の皿カード以外をイベントカードとするならば、「どんぶり」はイベントカードとしてデザインされています。ハイリスクハイリターンの確率を持つこのカードはイベント以外の何物でもありません。

一枚制限

「洗剤を取りに行く」と「店長の怒り」はたくさんの共通点を持つカードですが、成り立ちはまったく正反対でした。
運ぶを宣言しながら洗うと同じ効果を持つ「洗剤を取りに行く」はぜひ作りたいカードでしたが、めちゃくちゃ強いカードであることは作る前から予想していました。そして実際にテストプレイをして、それは確信へと変わります。なにかデメリットを入れないといけないということで一枚制限という手段を思いつきました。テストプレイでは最初は弱いと評判でしたが、だんだんと強いカードであることを理解されるというカードになってくれました。
「店長の怒り」は自分が作ったカードではありません。自分はバランスをとるということは得意ですが、バランスを壊すカードを作るのは苦手でした。ただ、逆転要素を生み出すカードが欲しいというのはテストプレイの総意でしたので、アイデアを募り、それから生まれました。ただ、処理がかなり複雑化することが予想されたので、逆に一枚制限のルールを当てはめることにより前と比較して単純化することに成功しました。これは、1枚で運んでいると「店長の怒り」ではないかと注意される副次的効果も生まれ、また、これは強いカードなんだよと説明しやすくもなったので、大成功と言えました。

終わり

以上、SARAを作成したときのことを思い出して書き出しました。SARAは自分で作っておきながら自分が一番好きなゲームです。この面白さを伝えられたなら幸いです。

トランプと同じ枚数にしたことで、ポーカーで覚えた確率計算が使えたり、このゲームの戦術戦略についてとか、自分の持っているノウハウはまだあるので、機会があればその3をかくかもしれません。
その時はよろしくお願いします。






Windfall

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